27 December, 2015
今回の弊社 Grant Thornton (Vietnam) のニュースレターでは、付加価値税 (“VAT”) 還付申請の手順概要およびリスクについてのご説明、弊社からのご提案をご案内しています。控除法によるVAT申告をされている会社様、外国契約者様のご参考にして頂ければ幸いです。
1.一般的に、付加価値税 (VAT) の還付を受けることができる対象および場合
連続する12か月間または連続する4四半期間において控除しきれない仮払いVAT額がある企業が対象になります。その他、無償資金協力によるODAまたは無償支援を原資とするプログラム、プロジェクトも対象になります。
外国人、海外に定住するベトナム人は、ベトナムで購入した物品を持ち帰る際、出国時にVATの還付を受けることができます。
2.VAT還付を受けるために取るべきステップは?
基本的には以下のステップを経ることになります。
2.1. 納税者は、VATおよび租税管理に関する現行法の規定に基づいて、VAT還付申請の条件を満足しているか否かを自ら確認します。
2.2. 還付に関わる税務調査の際に管轄税務当局から提示や説明を求められることになる証憑、インボイス、契約書、補足資料を改めて精査確認します。 このステップでは、税務当局へ提出する還付申請を作成する前の段階として、VAT還付申請額を確定するために、必要に応じて、納税者自ら金額修正を行うことができます。
2.3. 納税者は、管轄税務当局へ、VAT還付申請書類を提出します。
2.4. 税務当局は、書類に不足が無いことを確認した上で、回答日程票を発行します。
適正な書類の受領から2日以内に、税務当局の専門担当部署は、申請書類の分析を行い、税務調査の計画を立てます。
書類が適切では無い場合、税務当局は、具体的な理由を納税者へ通知します
2.5. 税務当局は、(調査後還付の場合)税務調査決定を発行し、納税者の事務所における税務調査を実施、あるいは、(還付後調査の場合)納税者への還付を行います。
•今までに税務当局からのVAT還付を受けたことが無い場合には、税務当局は、必ず税務調査を実施した後にVAT還付決定を行います。
•税務当局による税務調査決定の発行後は、既に申告済みの納税義務に関する情報を修正することはできないことに、特にご留意下さい。
2.6. 税務当局が納税者の事務所における税務調査を実施する際には、還付申請をしたVAT額の正当性を証明するために、各種資料の原本を提示し、かつ、自社の事業活動に関して説明する必要があります。
•この税務調査の段階では、税務調査チームは、VATに関する税務調査に焦点を当てる他にも、納税者による申告が法令の規定通りに実施されていないと判断されるような問題やその他納税義務が発見された場合(移転価格、外国人の個人所得税、外国側へ支払が生じる場合の外国契約者税など)、または、脱税の兆候が発見された場合には、税務当局の当該専門部署や公安当局へ意見を提議することがあります。
2.7. 納税者の事務所における税務調査が完了したら、納税者および税務当局は、数値に関して合意して、税務調査記録書に署名します。この税務調査記録書では、会計、VATに関わる法令順守の問題、修正事項(あれば)、還付申請に基づいて還付可能なVAT額、または、還付申請VAT額よりも追加納付VAT額の方が大きい場合のVAT追加納税要請などが明記されます。
2.8. 納税者は還付金を受け取ります。
2.9. 申請案件および時期によっては、還付済みの申請案件に対して、(管轄税務当局を通じた協力を得て)上位の税務当局による事後調査の要請や国家監査院からの要請を受けることがあります。
3.VATの還付申請をする際の納税者の権利および義務は?
3.1. 還付が遅延した際の延滞利息を受け取る権利:
税務当局側の落度により還付申請書類の処理が遅延した場合、納税者は、規定に基づく還付金の他に、遅延した還付金額と遅延期間により計算される利息の支払いを受けることができます。
•利息計算に使用される利率は、税務当局が還付支払いを決定した時点で効力を持つ中央銀行が公表する基準金利になります。
3.2. 不服申立ての権利:
納税者は、税務当局による各種行政決定に対して不服申立ての権利を持っています。対象となる行政決定としては、還付決定、税法違反行為に対する行政罰処分決定、特別税務調査結論などがあります。
3.3. 書類を保存し、税務当局へ提出する義務:
納税者は、還付に関連する各種書類・資料の原本を漏れなく保存し、税務当局からの要請があった場合には還付に関連する各種資料を提出する必要があります。
4.VAT還付申請書類を提出する前に認識しておくべきリスク
4.1. 納税者は、租税管理法および関連規定に基づく正しい税務行政手続きによる税務申告を実施しておく必要があります。
4.2. 納税者は、税務当局の要請に基づくインボイス、契約書、資料などの原本を提出できない可能性があります。あるいは、外国語での説明になっているため法的な効力を持たない資料を提出することになってしまう可能性があります。
4.3. 税務当局から説明を求められた際に、会社の各部門が整合性の無い説明をしてしまう可能性、または、税務当局へ提出した情報を根拠づける文書や資料が無い可能性があります。
•税務当局が通常行う確認手続きには以下のような手続きが含まれます。
⁻物品に関する確認:物品の売買契約、物品の受渡し形態、物品の受渡し場所、物品の運送手段、物品の運送費用、物品の荷主および出処(受渡し前の時点)。
⁻決済に関する確認:取引銀行、取引のために口座へ入金した者、取引実施回数、決済形態、決済証憑、債権債務相殺確認書の確認。
⁻税務当局は、税関当局および税務当局との間での情報交換・業務協力制度に基づいて関税当局から提供されるデータベースで通関書類を検索・照合して、申告書の内容が税関データベース上の通関申告書の内容と一致しているか否かを確認する必要があります。規定に基づく情報が不十分な場合、VATの還付は行われません。
4.4. 例えば、外国人の個人所得税や外国側契約当事者への支払いに関わる外国契約者税に関する過少申告や不正確な税額申告、移転価格文書化の不備により移転価格操作の疑いを受けた場合など、税務当局は、税務調査の過程で発見した追加納税額を納税者側で自ら修正するよう要請する可能性もありますし、税務当局の当該専門部署または公安当局へ案件を送致する可能性もあります。
•最近、税務調査の過程において移転価格の兆候が見られたとして、税務調査チームが、税務総局による全面的な移転価格調査を要請する事例がありました。
4.5. 税務当局から、行政手続き違反への罰金、規定に沿わない還付申請額に対する10%から20%の加算税、および、1日あたり0.05%(年あたり約18%)の延滞税を課される可能性があります。
•上記の罰金、加算税、延滞税は、法人所得税の税額計算に際して損金には算入されないことにご留意下さい。
5.御社がVAT還付申請をされる際に、弊社Grant Thornton Vietnam からご支援させて頂けることは?
5.1. 税務当局へ還付申請書類を提出する前の段階では、VAT還付を受ける条件の確認、および、還付申請書類草案の内容レビューをさせて頂けます。
5.2. 各種証憑、インボイス、契約書および補足資料のレビューを実施して、潜在的リスクの把握、法令に即した形での税務リスクへの対応策の実施をご支援させて頂けます。
5.3. 税務調査の段階では、御社の納税義務について税務当局に対する説明のご支援をさせて頂けます。
5.4. 次回以降のVAT還付申請時において税務リスク管理を容易にして、必要な手続きを簡素化するために、VATやインボイスに関するリスク管理の手順、業務プロセスの構築・実施のご支援をさせて頂けます。
何かお役に立てそうなことがありましたら、弊社Grant Thornton Vietnam の税務専門家へお問い合わせ下さい。
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